ロボットシミュレーションって何?ロボットの動作・干渉・タクトを事前に確認する方法
今回はロボットシミュレーションの必要性について説きたいと思います。
ロボット導入の需要が高まっているけど、どうやって設計したらいいかわからない。
そういった方にシミュレーションソフトの導入を推奨します。
その必要性と効果、シミュレーションの大まかな方法についてまとめました。
なぜロボットシミュレーションが必要か
ロボットシステムを設計するならシミュレーションソフトは絶対必要だと思います。
理由は、
作業する前に検証することができて時間的なロスが大幅に削減できるからです。
ロボットシステムのような3次元装置の設計の難点が、図面や机上の計算では表現しきれない所が多いことです。
例えば、
- 思い描いていた通りの姿勢・軌跡で動くかわからない
- 動作中の周辺部品との隙間がどれくらいかわからない
- ロボット動作のタクトタイムが見えてこない
の3つが特にだと思います。
これらの「見えないところ」は、
現物で動作・教示してはじめて分かることがほとんど。
予期せぬことが起こり、それが不具合がつながります。
考えられるリスクとして、
- ロボットのハンドが来てほしいところに到達できない(可動域オーバーor関節角度オーバー)
- おもわぬところでアームと周辺部品が干渉している
- 客先指定のタクトタイムをオーバーしている
でしょう。
こうなると大改造で、最悪レイアウトやロボット機種の変更もあり得ます。
もう装置で組み上がっていて、工数も予算も残っていない状況で、です。
まさにびっくり玉手箱。
そもそも、装置を製作・組立する前に、すべてを検証できていれば被害が最小限に抑えられたのに。。
そこでロボットシミュレーションの出番となるわけです。
ロボットシミュレーションで何がわかるか
シミュレーションのメリットは、設計・工事の両面で時間的なロスが減ることです。
従来組立・運転後でしか検証できなかったことを事前に検証できるため、
ミスを未然に防ぎ工数削減につながります。
シミュレーションソフトで分かることは以下となります。
- ロボット動作経路・姿勢がリアルタイムでわかる
- 周辺部品との干渉チェックができる
- 工程全体と各動作ごとのタクトタイムが把握できる
これで先にあげた問題点はほぼほぼ解決できるはずです。
ちなみに、動作プログラムの生成も可能です。
従来は現場で実際にロボットを動かしてティーチングしていましたが、
それをPC上で可能です。
予めPC内で問題を確認・修正しながら動作プログラムを作成し、実際のロボットに転送することができます。
これをオフラインティーチングと言い、現場教示者の負担軽減にもなります。
(とはいえ、どのみち現場で調整は必要です)
どうやって検証するか
図は操作画面の様子です。
前提
ロボットがグリッパーでワークを持ち、
コンベアからテーブルまでピック&プレイスするシステム
事前準備
- ロボットの選定(仮)
- 3DCADデータ(ハンド、周辺装置、ジグ、ワーク)
- 大まかな動作フロー
検証の大まかな手順は以下になります。
レイアウト配置
コンベアやテーブル、ハンドのCADデータを追加して適切な場所に配置します。
CADデータ追加は、外部からインポート、又は、ソフト内部のライブラリから引っ張ってくるかのどちらかです。
座標系の設定
ツール座標系の設定をします。
ツール座標系とは、ロボットがツールの先端に設定されたX ,Y, Z軸に平行に動作する座標系です。
ワークの登録
対象ワークをコンベア、テーブル、ハンドそれぞれにワークを登録・配置させます。
教示
ハンドルをつまんで動かす、または仮想操作盤の操作するのどちらかでロボット先端を動かし1点1点を教示します。
運転
実行モードにしてSTARTボタンを押せば運転します。
費用
メーカーにもよりますが、感覚的に1本20~30万円程度です。
オプション込みだと多少増えます。
デメリット
- 操作が複雑
- 各社ソフトで操作も考え方も全く違う
- 設計用3DCADとは別ソフトなのでデータ移管が手間
各社専用のソフトの操作が異なるため、
ファナックや安川など複数メーカーをよく使うかたにとっては、
習得するのに時間がかかると思います。
各社対応ソフト
- Biz Factory…汎用ロボットシュミレーションソフト
- ROBO GUIDE…ファナックロボットシュミレーションソフト
- Moto Sim EG…YASUKAWAロボットシュミレーションソフト
- K-ROSET…Kawasakiロボットシュミレーションソフト
実は、あらゆるロボットメーカーでも共通して取り扱いできるシミュレーションソフトもありまして、おいおい紹介したいと思います。
まとめ
ロボットシミュレーションの必要性についてざっくり説明しました。
- 従来は組立完了後にティーチング、検証していたが、シミュレーションによってPC上で検証できた
- ロボットの動作・姿勢は、事前にPC上で確認することができた
- 周辺部品との干渉は、事前にPCで干渉チェックができた
- タクトタイムは、事前にPCで検証することができた
世の中的に、なるべくバーチャルで完結させる雰囲気が広がっています。
このシミュレーションもロボットSIにはかなり浸透してきていますから、
この設計手法がスタンダードになる日もそう遠くないと思います。
僕はまだビギナーで勉強中です。
今後も気づきがあれば発信していきたいと思います。
おわり